「地球にいるうちは意味がない」落合陽一に聞くモノが浮く技術 – IRORIO(イロリオ) – 海外ニュース・国内ニュースで井戸端会議

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「コロンブスの卵」といえば、コロンブスが知恵を働かせてゆで卵を立たせる逸話です。

結果的に簡単な作業だったとしても、最初に試してみる勇気と知恵の大切さを説きます。

2017年、ついに卵は浮かせる時代になりました。

浮かせた張本人で、現代の魔法使いと呼ばれるメディアアーティストの落合陽一さん(29)=筑波大助教兼学長補佐=に、IRORIO編集部が「物が浮く」未来への展望を聞きました。

浮かせるのは「非対称」だと難しい

落合さんは今回、大手電子部品メーカー・TDK(東京都港区)とともに、卵とりんごを再現した模型、ホールケーキを載せた台座の3つを磁気で浮揚させる企画に挑戦しました。

落合さん:今回は、浮いていているときれいだからやってみようという企画です。

「磁気浮揚」自体は物を浮かせる方法としてとても古典的な技術です。

今回はそんなに難しくはなくて、比較的「対称性」が高い物が多かったので、研究としては楽なんですよ。

これが「非対称性」の物を、三次元で制御するとなると非常に難しくなります。

バランスを取るのが難しく、傾きとかを考えて、どうやったらスタビライゼーション(姿勢の安定)するのかを考えてきました。

リニアモーターカーのように決まったレールの上で動かす技術は、昔から研究されてきましたけどね。

応用できるのは「塗装」「ディスプレイ」

「物を浮かせる」技術と聞くと、つい宇宙船の内部のように、家の中の色んな物が浮くような近未来を想像してしまいます。

しかし、実際にそのような未来が訪れる可能性は低いそうです。

磁気浮揚は「塗装」向き 提供:落合陽一さん

磁気浮揚は「塗装」向き 提供:落合陽一さん

落合さん:磁気浮揚に関しては、現実的に使うとしたら工業的な「塗装」の分野でしょう。

対象物を塗装する時に、どこも地面に触れずに塗りたい時にできるかなと。

今回の動画で卵を白く塗るときは「楽だった」とスタッフが話していました。

あとは、商業的にディスプレイ(展示物)として商品とかを浮かせるぐらいかな。

あんまり世の中で物が浮くメリットは感じていなくて。浮かせること自体に価値があるとは思っていないです。

一般の人が喜ぶのは、「見て面白い」「きれいでカッコいい」というだけで、エンタメとしてはいいでしょうね。

出典元:TDK Attracting Tomorrow Lab

出典元:TDK Attracting Tomorrow Lab

落合さん:生活者は物が浮いていてもあまりうれしくない。生活必需品ではないんですよ。

便利の意味で浮かせる物を消費者が求めるかというと、そんなにはないかなと。

重力下で物が浮いているの不安定だから。

物が浮く利便性は、宇宙に出るまで感じないと思います。重力がなくなると、非接触力(遠隔作用)で物を固定する必要が出てくるので。

地球にいるうちは意味がないかな?って感じです。

調理を自動化できるかも

生活で役立つ場面は少ない磁気浮揚ですが、調理の自動化には可能性があると語ります。

落合さん:地味にフライパンは便利そうだなと。単に自動化したいってだけなんですが。

ロボットアームで持ってもいいんですけど、メカが付かなければ上下方向に自由に動かせるじゃないですか。

姿勢制御が、メカと磁気浮揚だと「どっちが早くできるかな」という感じで。

チャーハンを自由に作ってください、となった時にコンロ側に磁場装置を取り付けると、取っ手が付いていないフライパンとかできるかもしれない。

磁気浮揚って力が強いから、重たくても関係ないんですよ。安定性は考えなければいけませんが。

魚を浮かせて焼いたり、ICカードに「触感」を生んだり…提供:落合陽一さん

魚を浮かせて焼いたり、ICカードに「触感」を生んだり…提供:落合陽一さん

落合さん:私はあんまり料理しないけど、ただね、「焼き物」はかなりいいと思いますね。

だって、アユをこんがり焼きたかったら、今は串に刺して回しているけど、串刺しにしなくても焼けるし、回せます。コンピューター制御で、きれいに回せますよ。

フェライト(磁性材料)は、熱で磁性が変化するので、放熱下で使えるかは分からないんですけど、悪い発想ではないと思います。

対象物に接してないし、穴をあけたりしないで済む焼き方って面白いじゃないですか。

人間の手の焼き方ではできない焼き方を実現できますよね。

出典元:TDK Attracting Tomorrow Lab

出典元:TDK Attracting Tomorrow Lab

この前ヨーロッパに行ったら、ブタを串刺しにしてぐるぐる焼く装置があったんですが、そういう装置を使わなくても回すことができますよ、と。

食も、半分エンタメですからね。

でも、串に刺してない焼き鳥とか、おいしいのかなぁ。

次は触覚?

空中に物を浮かせる技術は、交通系のICカードを機械にかざす時に「触ったな」という感覚をつくれるといいます。

落合さん:今浮かせたいものは、交通系のICカードとか。

単純に言うと、触る瞬間にピピッ!って音だけではなくて、一瞬硬くなってすぐ、一瞬止まるのが良いかなと。

いったん空中で突っかかって止まって、使った人はタッチしたなという感じになる。

浮いているというよりは、状態の途中として「浮く」があるだけ。

次に来るのは、どっちというと触覚の分野じゃないかと。

2020年まで生活に普及するのは自動運転とAR/VR 提供:落合陽一さん

2020年まで生活に普及するのは自動運転とAR/VR 提供:落合陽一さん

落合さん:実は去年ぐらいに実験していたんで、技術的にはもうできるんです。

実際に触ってないものにフィードバックする領域は、実用的な意味でも非常に価値は高いですよ。

浮くぐらい制御が細かくできていれば、すごいってことかもしれない。

浮くってことは、空中にフィードバックがある状況です。その方向性はあり得るなと思います。

3年後に生活に生きている技術とは

2020年にオリンピック・パラリンピック東京大会を控える日本。

国内外から注目を集める好機に、優れた製品やサービス、社会環境などをPRしてその後につなげようと活発な投資が行われています。

今後、3年間の生活に浸透しているテクノロジーはあるのでしょうか。

落合さん:自動運転かなぁ。

2020年までにメーカーさんは、やりたいと言っていますよね。

今後は「レベル3」と言われるほぼ完全な自動運転の車は、よく出てくると思います。

あと、ゴーグルというかメガネ系?

AR(拡張現実)、VR(仮想現実)は、たぶんけっこう出るんじゃないでしょうか。

出典元:TDK Attracting Tomorrow Lab出典元:TDK Attracting Tomorrow Lab

「現代の魔法使い」は、表面的な技術だけではなく、生活者に必要となるか、どのように社会で応用が利くかを常に考えています。


【落合陽一】東京大学学際情報学府博士課程修了。2015年から筑波大学助教、デジタルネイチャー研究室主宰、Pixie Dust Technologies.inc を起業しCEO。2017年より筑波大学学長補佐、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学客員教授を兼務。専門はCG、HCI、VR、視聴触覚提示法、デジタルファブリケーション、自動運転や身体制御。東京都出身。Twitterは「@ochyai」。






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