ソフトバンクの「スポナビライブ」に込められた孫氏の思い

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 スポーツのライブ中継サービスの先駆けとなった、ソフトバンクの「スポナビライブ」。プロ野球10球団の主催試合や、2016年にスタートしたプロバスケットボールの「Bリーグ」などが定額で見放題となるサービスだが、ソフトバンクがスポーツのライブ配信を手がけた理由はどこにあるのか。また、スポナビライブでソフトバンクはスポーツ市場にどのような影響を与えようとしているのか。サービスコンテンツ本部 本部長である大島吾希洋氏に聞いた。

ソフトバンクの大島氏
スポナビライブについて話す、ソフトバンクの大島氏

日本のプロスポーツを盛り上げたい–孫氏の思い

 「DAZN」を展開する英国のパフォーム・グループが、Jリーグの放映権を10年間、2100億円で獲得したことから、大きな注目を集めるようになったスポーツのライブ中継サービス。日本でその先駆けとなったのが、ソフトバンクが展開するスポナビライブだ。

 スポナビライブは2016年3月に提供を開始したスポーツのライブ配信サービスで、プロ野球10球団主催の公式戦から、「プレミアリーグ」「リーガ・エスパニョーラ」などの海外サッカー、さらには2016年にスタートした日本のBリーグの試合中継などが、定額で見放題となる。3月16日からは月額1480円、ソフトバンクやワイモバイルの携帯電話ユーザーや、ヤフーの「Yahoo!プレミアム」の会員であれば月額980円で利用できる。

「スポナビライブ」
「スポナビライブ」

 大島氏によると、ソフトバンクがスポナビライブを手がけるきっかけは、2016年まで同社の一部ユーザー向けに無料で提供していた、プロ野球のパシフィックリーグの試合を視聴できる「パリーグLIVE」にあるという。このサービスの反響が大きかったことから、「プロ野球だけでなく、プロスポーツを視聴できる環境を提供したら、新しい世界観ができるのではないか」(大島氏)と考えたことが、きっかけとなったようだ。

 そしてもう1つ、大きな理由として大島氏が挙げたのが、スポーツ市場自体の活性化だ。日本のプロスポーツは、長い歴史を持つプロ野球や、地域密着の取り組みを進めたサッカーの「Jリーグ」などは定着したものの、それ以後は大きな発展が見られず、市場も停滞傾向にあるとのこと。最も人気があるとされるプロ野球でさえ、現在ではテレビでの放映機会が減少しており、チケット収入も大きく伸びてはいない状況のようだ。

 そうした状況を憂いていたのが、ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏であるという。孫氏、ひいてはソフトバンクグループは、プロ野球の福岡ソフトバンクホークスを持つだけでなく、世界最高峰のヨットレースであるアメリカズカップに参加する「ソフトバンク・チーム・ジャパン」やBリーグへのスポンサードなど、さまざまな形でプロスポーツを支援してきた。それだけに、日本のプロスポーツ自体を活性化したいという孫氏の思いが、スポナビライブの立ち上がりに大きく影響しているようだ。

2016年3月にはソフトバンクが「B.LEAGUE(Bリーグ)」のトップパートナーに
2016年3月にはソフトバンクが「B.LEAGUE(Bリーグ)」のトップパートナーに

 スポナビライブは、ヤフーが展開する「スポーツナビ」の名前を冠していることからも分かる通り、ヤフーとソフトバンクが共同で運営しているサービスでもある。大島氏によると、スポーツナビのチームとは「毎日連携してサービスを展開している」とのことで、今後もスポーツナビの記事やデータなどと連携する施策に力を入れていきたいと話す。ただ、スポーツナビは中立性が求められるメディアとして運営されていることから、月額課金制のスポナビライブとは考え方が異なる部分もあり、ある程度役割を分けて運営されているという。

Jリーグのライセンスやゼロレーティング施策は

 スポーツ中継を手がける上で重要なのは、どのスポーツの配信ライセンスを取得するかである。スポナビライブとしては、「スマートフォンやタブレット、テレビなど色々なデバイスで視聴できるという認知や体験を浸透させる必要があり、それに見合った競技のライセンスを取得するようにしている」(大島氏)とのこと。ユーザーの視聴傾向を見ても、プロ野球や海外サッカーなど、スポーツ好きな人たちが楽しめる、メジャーなスポーツの視聴傾向が強いようだ。


スポナビライブでは、インターネットサービスであることを活用し、試合に関する情報をより詳しく知ることができるサービスが用意されている
(C)SoftBank HAWKS

 パフォーム・グループが獲得したJリーグに関しても、大島氏は「(ライセンス獲得を)考えていて、手を挙げていた」と答えており、ソフトバンクがJリーグの配信ライセンス獲得を目指していたことを明らかにしている。結果的に軍配はパフォーム・グループに上がったが、大島氏は「新しいスポーツ体験の仕方は、我々だけでは実現しにくい部分もある。他社が参入することで市場が活性化するのではないか」と話し、市場活性化のためにも、現時点で競争相手が増えることは歓迎する構えのようだ。

 大島氏は「我々はテレビ局ではなく、インターネットの会社。テレビ局とは違う形でサービスを作っていかないといけない」と話す。そのためスポナビライブも、単に中継を映像で見せるだけでなく、インターネットサービスならではの工夫を取り入れているという。具体的にはライブ配信中でも選手やチーム、試合に関するさまざまな情報を同時に確認できる仕組みを構築したり、テレビで視聴してスマートフォンで情報を見るといった、マルチデバイスで楽しめる環境作りを進めたりしているという。

 料金については、スポナビライブは当初、ソフトバンクユーザーは月額500円(HD版)、それ以外のユーザーは月額3000円と、かなりの価格差があった。前述の通り、3月16日から価格は改訂されたほか、画質面でもHD版が廃止され、フルHD版に統一されるなどいくつか変化しているが、こうした料金施策の変化には、どのような考えがあったのだろうか。






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