ベルリン国際映画祭で日本映画は存在感を示した?(日経トレンディネット)

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金熊、銀熊賞は世界をうならせた東欧のベテラン女性監督

 世界3大国際映画祭の一つ、ベルリン国際映画祭が2017年2月9日から17日にかけて開催され、大きく変動する世界を反映した多くの力作が上映された。

【関連画像】銀熊賞『Spoor』のアグニエシュカ・ホランド監督 (c)Berlinale2017

 最高賞の金熊賞はハンガリーのイルディコ・エンエディ監督の『On Body and Soul』が受賞。銀熊賞審査員賞にはフランス人監督アラン・ゴミの『Felicite』、銀熊賞アルフレド・バウアー賞にはポーランドのアグニエシュカ・ホランド監督の『Spoor』、監督賞には『The Other Side of Hope』のアキ・カウリスマキ監督が選ばれた。

 金熊賞を獲得した『On Body and Soul』は蓄殺場で働く同僚の男女が、夜眠っている間に同じ夢を見ていることを知ったことがきっかけで恋に落ちるという、独創的な発想のラブストーリーだ。時間をかけて冬のブダペスト郊外で撮影された、野生の動物の映像は息を呑む美しさだ。

 銀熊賞の『Felicite』の舞台はコンゴの首都キンシャサ。シンガーでありシングル・マザーの主人公が、交通事故にあった息子の手術費用を工面するために、町を走り回るという設定。そこから人間の弱さや強さ、身勝手さや温かさ、自己の発見など多くの課題に触れるヒューマニティーがテーマだ。黒人聖歌隊の賛美歌の洗練された使い方など、監督の手腕が光る。『Spoor』は熱心な自然愛護家の中年女性が主人公の推理ドラマ、彼女が殺人事件を解明しようとするのだが意外な結末が待ち受ける。自然を捉えるカメラ・ワークが美しく、狩猟家に立ち向かう勇敢なおばさんが笑いを振りまき楽しい。

●女性の視点が鍵? 受賞作に見られる共通点

 偶然かもしれないが、今年の受賞作は女性の視点が鍵となった。ハンガリーのエンエディ監督61歳、ポーランドのホランド監督68歳、それぞれの国で30年以上映画づくりに人生を費やしてきた女性たちで、独特で個性的発想の面白さと表現の豊かさが光った。元東欧共産圏出身の2人の才能がここで評価されたのはうれしい。近年映画シーンが活発なルーマニアに加え、ハンガリー(『サウルの息子』のネメシュ・ラースロー監督など)やポーランドも、これからの動向に目が離せない。

 『Felicite』のゴミ監督は男性だが、アフリカ系フランス人の女性主人公を通してルーツにあるアフリカ文化をフランス映画の洗練された手法で描いていく。監督賞に輝いたフィンランドのカウリスマキ監督の『The Other Side of Hope』は、カウリスマキ・スタイルとされるレトロな映像と数少ないセリフで現代の難民問題に取り組んだ。これまでにも社会の底辺に目を向けてきた監督は、シリアスなテーマを扱いながらも彼にしか生み出せない北欧のユーモア(日本レストランのネタあり)で会場を笑いの渦に巻き込んだ。こんな形で難民問題を捉えられる人は彼以外にいない、と思わせるゆる~いのにやけに力強い作品だ。

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